駐車場などで、車のドアを開けた際に隣の車にぶつけてしまう「ドアパンチ」。
「自分で開けてぶつけた場合は?」
「子どもが開けた場合は?」
「他人の子どもだったら?」
「同乗者だったら、その人の保険を使える?」
ドアパンチは、誰がドアを開けたかによって保険が変わるように思われがちですが、基本的な考え方はシンプルです。
すべてのケースで「その車の自動車保険の対物賠償」
自動車のドアを開けたことによって隣の車を傷つけた場合、基本的には、その自動車の自動車保険の対物賠償責任保険で対応します。
ポイントは、誰がドアを開けたかというより、自動車のドアの開閉によって発生した事故だということです。
① 自分でドアを開けてしまった場合
もっとも分かりやすいケースです。
駐車場で自分がドアを開けたところ、風にあおられるなどして隣の車にぶつけてしまった。
この場合は、自分の車の対物賠償責任保険で相手の車の損害に対応します。

② 子どもがドアを開けてしまった場合
例えば、
父親が運転して駐車
↓
後部座席の子どもがドアを開ける
↓
隣の車にぶつけてしまった
というケースです。

この場合も、基本的にはその車の対物賠償責任保険で対応します。
「運転中の事故じゃないんだし、子どものやったことなんだから個人賠償責任保険では?」
と考えるかもしれませんが、そうではありません。
自動車のドアを開けたことによる事故だから、自動車の所有・使用・管理に起因する事故となり、その車の自動車保険で対応するというのが基本です。
③ 他人の子どもがドアを開けた場合
例えば、友人親子を自分の車に乗せていて、友人の子どもがドアを開け、隣の車にぶつけてしまった場合などです。
この場合も基本的な考え方は変わりません。
その車の対物賠償責任保険で対応する事故として考えます。
仮にその子どもの親御さんが個人賠償責任保険に加入していたとしても、個人賠償責任保険では、一般に自動車の所有・使用・管理に起因する損害は補償対象外です。
したがって、
「他人の子どもがやったから、その子の親の個人賠償責任保険」
という処理にはなりません。
④ 同乗していた大人がドアを開けた場合
子どもだけではありません。
例えば、友人を自分の車に乗せていて友人がドアを開けた際に隣の車にぶつけてしまった、といった場合も基本的にはその車の対物賠償責任保険で考えます。
「ドアを開けたのは友人だから、友人の自動車保険を使う」「ドアを開けたのは友人だから、友人の個人賠償責任保険を使う」という話ではありません。
⑤ 同乗者の「他車運転特約」は使えない?
ここも注意が必要です。
例えば、同乗していた友人がドアを開けて隣の車にぶつけた場合、
「友人の自動車保険には他車運転危険担保特約があるから、それを使えるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、他車運転危険担保特約は基本的に、他人の車を借りて運転しているときの事故を補償するためのものです。
単にその車に同乗していて、ドアを開けただけであれば、その人の他車運転危険担保特約を使うことはできません。
⑥自動車保険に年齢条件がついている、夫婦限定になっているけど大丈夫?
自動車保険には運転者の年齢条件が付いていたり、場合によっては運転者をご夫婦だけに限定されていることがあります。
その場合、友人やその子ども、または免許のない自分の子どもがやってしまった場合でも大丈夫なの?
と思われるかもしれません。
自動車保険の運転者の年齢条件や夫婦限定などの特約は、
ご契約の車を運転する人物を限定する
ための特約条項であり、
同乗者のドアの開閉などの「自動車の使用・管理」に関する事故においては、それらの限定を受けません。
したがって、
自動車保険の対物賠償の対象となります。
もちろん、
自動車の「所有・使用・管理」に起因する事故になりますので、
個人賠償責任保険は使用できません。
では、保険を使うとどうなる?
ドアパンチで対物賠償責任保険を使った場合、原則として3等級ダウン事故(ノンフリート契約の場合)となります。
そのため、修理費がそれほど高額でない場合には、保険を使った場合の翌年度以降の保険料と、相手の車の修理費を比較して判断することになります。
「保険を使った方がよいか?」
「自費で支払ってしまった方が良いか?」
は、ご加入の保険会社または代理店によくご相談ください。
※実際の保険金支払いは、契約内容や事故状況などによって異なりますので、個別の事故については加入している保険会社への確認が必要です。
ドアパンチを起こさないために
駐車場でドアを開けるとき、ちょっとした注意で防げます
駐車場で起こりやすい「ドアパンチ」。
隣の車にドアをぶつけてしまうと、相手の車に傷やへこみをつけてしまうだけでなく、保険を使えば翌年度以降の保険料にも影響します。
ドアパンチは、少し意識するだけでも防ぎやすい事故です。
駐車するときから、隣の車との距離を意識する
ドアパンチ対策は、実はドアを開ける前から始まっています。
駐車するときに、隣の車との間隔を確認しておきましょう。
駐車スペースの中央にきちんと停めるだけでも、左右のドアを開けるスペースを確保しやすくなります。
特に、
「自分の車だけではなく、隣の車のドアが開くことも考える」
ことがポイントです。

風が強い日は要注意
ドアパンチで意外と怖いのが風です。
「少しだけ開けるつもりだったのに、突然ドアが持っていかれた」ということがあります。
特に、隣の車との距離が近い駐車場では注意が必要です。
風が強いときは、ドアをしっかり支えながら、少しずつ開けるようにしましょう。

荷物を持ったままドアを開けない
買い物帰りなど、両手に荷物を持った状態でドアを開けると、ドアをしっかり押さえられないことがあります。
そんなときは、
先に荷物を整理してからドアを開ける
先に降りてしまってから、少しずつ荷物を降ろす
といったことを心掛けるだけでも、ドアパンチ防止につながります。

子どもの乗り降りは、親がドアを開ける
子どもには「ドアをゆっくり開けてね」と言っても、なかなか思うようにはいきません。
子どもは、どこまで開けたら隣の車にぶつかるのか、その「限界」がまだ分からないからです。
「ゆっくり」のつもりでも、思った以上に勢いよく開けてしまうことがあります。
そのため、隣に車が停まっている駐車場では、子どもにドアを開けさせるよりも、
先に親が降りて、親が子どものドアを開ける。
という方法がおすすめです。

特に後部座席に子どもを乗せている場合、親が先に運転席から降りて、子どもが乗っている側の後部座席まで回り、周囲の車との距離を確認してからドアを開けてあげると安心です。
「ゆっくり開けてね」と注意するだけではなく、そもそも子どもがドアを開けないようにする。
これも、ドアパンチを防ぐための大切な対策です。
ドアパンチは「開ける前のひと呼吸」で防ぐ
ドアパンチを防ぐために、特別なことをする必要はありません。
ドアを開ける前に、
「隣の車との距離は大丈夫?」
と一度確認するだけでも、事故を防ぐきっかけになります。
特に子どもが乗っている場合は、
「隣に車があるよ。ゆっくり開けようね」
と常に声をかけてあげましょう。
また隣の車が近かったり、特に風が気になるときには、
「先に親が降りてドアを開けてあげる」
ように心がけましょう
ドアパンチは、ほんの一瞬の不注意で起こります。
そして、いったん相手の車を傷つけてしまえば、修理や相手との連絡など、対応にも手間がかかります。
保険を使えるから大丈夫、ではなく、まずは事故を起こさないこと。
駐車場では、ドアを開ける前のひと呼吸を習慣にしておきましょう!

